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0からワイナリーを始めるということ

  • 執筆者の写真: Sano.A
    Sano.A
  • 8月14日
  • 読了時間: 4分

備忘録もかねて


この土地は義父から夫へ貸借されているもの
この土地は義父から夫へ貸借されているもの

自分たちの望むワインを作るにはワイナリーが必要不可欠。

何より芦別市で収穫した葡萄はどこに委託醸造を出すにしても1時間以上は車でかかる。(今委託をさせていただいている先は夏で2時間以上かかる)

ワインを造る者としては、やはり収穫してすぐの葡萄でワインを仕込みたいもの。


新規就農して4年目。初の委託醸造を終え迎えた春。日に日にワイナリー建設への思いは募っていった。すでにいくつか行動はしていた。

まずワイナリーを建てるのに必要なもの、土地。自分名義の土地である。

畑の横か、都市部かは悩んだが今回は農地+ワイナリー建設地も含めた土地探しを行った。

(畑の横にワイナリーがなくてもいいのでは?という問題。同市内の繁華エリアに建てることも考えたが、今回は色々な縁もあったので無しの方向にまとまった。正直予算を考えれば都市型ワイナリーは北海道においてはメリットの方が多い気もする……。)


土地探しは2023年から始めていた。新規就農して1年後の夏である。

土地の探し方なんて何も知らない、分からないので、農業委員会へいき、あとはひたすら車を走らせ農地ナビと照らし合わせた。

農業委員会も、田んぼや通常の畑作のための土地ではなく、ワイン用葡萄の為の、水はけがよく斜面で日当たりがよく……そんな土地をわざわざ探したことがないので待ってほしいとの回答。


気長に探すこと数か月。


当初の候補として挙がったのは、自分たちの足でみつけた耕作放棄地。

が、こちらの土地は名義が宙ぶらりんになっており(相続問題)、直ぐの手続きは不可。

さらにネックなのが一切の生活インフラがないこと。

土地に斜面を求めるが故、上下水がなく、電気もないそんな土地に出くわすことは多々あった。

そんなこんなで悩んでいると、農業委員会のほうから農地の提案を受ける。(といってもかれこれ5年は作物を植えてない。)

相談してから2年の月日がたっていた。

アプリやインターネットをつかい、気象条件、土壌条件、地目、水脈、etc……調べ、葡萄栽培、ワイナリー建設にも悪くないことが分かり、この土地に我が骨を埋めることを決意。

(いい話ばかりではない。かなり清濁併せのんだ。酔っぱらったときにでも話しましょう。)


農地法改正により多少ずれは生じたものの、

無事に貸借→売買まで契約が進みそうである。私が法務局とのやり取りを頑張れば。

皆様のご協力本当にありがとうございます。


今回購入予定の土地。冬は残されたハウスの骨組みがよくわかる。
今回購入予定の土地。冬は残されたハウスの骨組みがよくわかる。

今回の土地探し、あまりにも地方農業の高齢化問題に触れた。

農業していた高齢者がなくなり、とうに街へ出た子供は相続手続きをしなかったり…

農地を手続き踏んで手放したくても、きれいに土地を整える資金も体力もなく、ハウスの骨組みや雑品が転がる【農地】をほかの農業者は買いたくなかったり…


さらに、荒れた土地をかうのであれば、地目変更や名義の手続き、法務局へ何度も足を運ぶ労力。


これらを本来は土地の売り手側が負担することが多いらしい。

しっかり使用した土地をきれいに戻し、地目管理をし、次の人に引き継ぐ。

これが後継者がいない高齢農家にとっては、なかなか難しいのである。


今回私は地域を支えてくれた高齢者から、土地というバトンを引き継ぐにあたってある程度の負担を請け負う覚悟で買った。

それが若い農業者の使命だとも思った。

諸々の手続き、手数料の負担、農地に残る雑品たち。


しかしほかの農業者や新規就農者はどうだろうか。

態々こういった土地は選択しないだろう。分解されない人工物を緑が飲み込み、その時その農地の未来は完全に閉ざされてしまうのだろう。


と、考えながら明日は我が身なのである。

50年後枯れた葡萄樹にくたびれた垣根棚を誰かに引き渡すような真似はしたくないなと常々思っているが、そうなる可能性も捨てきれないのが恐ろしいところだ。




 
 
 

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